永青文庫名品展 ―没後50年"美術の殿様"細川護立コレクション―
黒い猫の輪郭は線ではなく、墨のぼかしで描かれています。
毛並みの柔らかさが伝わってくるような写実的な表現です。
明治時代の画家、菱田春草の黒き猫。
春草は伝統的な日本画に斬新な技法を導入したことで高く評価されています。
金泥を用いて描かれた柏の葉。
その全てが正面を向いています。
この作品を収めているのが細川護立のコレクションです。
護立は肥後、熊本藩を治めた細川家の16代当主。
優れた鑑識眼で美を見出し、文化行政にも携わりました。
没後50年を記念して細川護立のコレクションが公開されています。
江戸時代の禅僧、白隠が描いた大燈国師の像。
京都、大徳寺を開いた大燈国師は長年乞食の業続けたと言われています。
白隠の絵は護立のコレクションの中で最も早く収集されたものの一つです。
「細川護立は17歳の頃に白隠の達磨図を初めて入手いたしまして、それがきっかけとなりまして白隠の作品を本格的に集め始めました。一般にはまだほとんど知られていない存在だったんですけれども、護立は若くしてまだ価値が定まっていない白隠の作品に強く惹かれまして作品を積極的に集めました」
刀剣は護立が十代の頃から収集を始めたものの一つ。
これは鎌倉時代の備前の刀工、光忠の作。
護立が収集してから30年以上のちに国宝に指定されています。
40歳を過ぎてからの護立は東洋の美術への関心を深めていきます。
これは中国唐の時代に作られた唐三彩です。
唐三彩が世界で注目されるようになったのは、20世紀初頭のこと。
唐の王侯貴族の墓から出土した副葬品が次々とヨーロッパに流出したのです。
護立はパリでその美を目の当たりにし、数々の名品をコレクションに加えるようになりました。
後に日本でも唐三彩の展覧会が開かれます。
こちらはその図録。
護立のコレクションは表紙を飾り、それは日本に唐三彩の魅力を広めることに繋がりました。
東京文京区の永青文庫で11月8日まで。
会場:永青文庫
会期:2020年9月12日~11月8日
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