チャンスはピンチだ。

響くアートの愛好家

日曜美術館「アニマルアイズ~写真家・宮崎学~」

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写真家・宮崎学(71)は、人間社会のすぐそばで生きる多種多様な動物たちの姿を、半世紀にわたり写し続けてきた。

探偵のごとく動物たちの痕跡を読み解き、自作のロボットカメラで人間の目が及ばぬ世界を写し出す。

番組では、一年越しの構想の末、動き出した新プロジェクトに密着。

「動物の住む森を、動物の目線から見る」、前代未聞の表現に挑む姿に迫る。

【出演】宮崎学,【朗読】柴田祐規子

 

 

森の写真動物記〈5〉クマのすむ山 (森の写真動物記 5)

森の写真動物記〈5〉クマのすむ山 (森の写真動物記 5)

  • 作者:宮崎 学
  • 発売日: 2008/05/01
  • メディア: 大型本
 
写真ルポ イマドキの野生動物―人間なんて怖くない

写真ルポ イマドキの野生動物―人間なんて怖くない

  • 作者:学, 宮崎
  • 発売日: 2012/03/10
  • メディア: 単行本
 

日曜美術館「アニマルアイズ~写真家・宮崎学~」

放送日

2020年11月22日

 

 

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人の目の届かない彼らだけの世界。

ここは森の中の野外スタジオ。

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「漁業用の浮き。いろんな大きさあるでしょ。それを拾ってきてゴミの再利用」

f:id:tanazashi:20201127213647p:plain工夫を重ね、その世界を覗き込む。

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「監督ですから僕は。彼らはモデル。役者ですよ。動物の気持ちになった目線で、やっぱり作品は作りたいですよね」 

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記録的な長雨が続いていた。

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写真家宮崎学。71歳。

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1970年代から、誰も真似できないやり方で動物写真の世界を切り開いてきた。

手作りの機材での撮影が宮崎の真骨頂。

「えーとなんだなあ。これが使えればいいしなぁ。人に片付けられるとアウトですよ。もうもうどこに何があるかっての座ればあの辺。ゴミのようなものでもゴミじゃないです。みんな。一品料理だから。一つの作品のために全部。これは水中。水辺とかねこれも入れてねこれでシャッター切ったり。まぁリモコンで切ったりしてたんです」

温泉街に繁殖した熱帯魚を捉えた一枚。

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「これはイワシの缶詰ですよ。カメラを固定する三脚があるですね。これはね海苔の缶詰の蓋の方。鉛を溶かしてね、ドロッと。二キロくらい。これは水道管。水道管を酸素バーナーでねとかしてね。写真は全然変わりますよ。

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生き物達はどういう視点でね日々暮らしてるだったら見えてくるでしょ。人間はね高い所でいつも見ちゃうからね、見える物も見えなくなる。極端な話、ネズミのひげなんかね、めちゃめちゃ長い。あるいは野ウサギも耳よりひげが長いですからね。そういうのこういう撮影で発見できますよね」

動物の目線になって初めて彼らの世界が見えてくる。

 

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長野県の伊那谷

ここは宮崎が生まれ育ち、長年のフィールドとしてきた土地。

「こうやってね人が歩いて来るぞっていうこと教えれば、向こうの方でも来るなら襲ってやろうなんて考えちゃいないから、あーやばいな身を隠そうということになる」

数日おきに見回りをする。

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「クマネズミがさくらんぼの芯。山桜のこの辺のね。その芯をかじってなんかを食べた跡。みんなね」

「これは玄関ですね。ここを狙うだけでも面白い写真撮れる。カメラセットすれば一晩でかかる。彼らは個々で生活しているから。そういう発見があるから楽しいんですよ。自然なんてそんな物です。教科書がないないって言ってるけどね、教科書は自分で作りましょう」

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宮崎について歩くと、森の中の動物たちの気配が感じられる。

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「今年の一週間くらい。これがクマ棚」

ここで食事をしたらしい。

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「倒れたんだろうね。この間の雨で。まだ一週間たってないかもしれないね。人家の裏だったらニュースだよ。逆にある木の幹をバイパスに使えるんでリスなんかは大喜び。自然拡大して災害とか起きるのが前提条件。違う景色あるんですよ。そういうところを写真に撮りたいんだね」

 

 新作に向け動き出した宮崎。

新たにカメラを置く場所を探している。

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かねてから狙いを定めていた場所にまず市販の監視カメラを設置。

「何が来てどんなことしてるかどうか確認しといてからまた本格的にね自分の撮りたいテーマでカメラをセットする」

Q.この場所に設置しようと思ったのはどういうきっかけですか

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「これはねそこにタヌキのトイレがあるんですよ。通るところだから。共同トイレというか情報交換の場にしてる。うまい物食ってきたなとか。

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木の実は圧倒的に多いよね。さくらんぼ。蟹の甲羅。サワガニの。サワガニを食べてるってことは、本格的な田舎のタヌキですよ。山住まいの。予測ができますから。イノシシがどっかで、近所に死んでいますから。それは5キロも10キロ向こうで死んでるはずないから。やっぱり2キロくらいの範囲に猪が死んでる。それがうんこに混じってあのしっかり練り込まれて落ちてるわけね。それがまた雨に打たれたりしてほぐれてくるとシジュウカラが巣の材料に持ってちゃうと。そうするとまた綺麗なってそういうね。トイレも見ていると面白いんですよいろんな情報が集まってるから。2020年7月13日。OK。歩けばね、赤外線で体温をキャッチしてシャツターが切れるんです」

持ち帰った監視カメラの映像には驚きのものが写っていた。

「熊さん。雄っぽいね。若いね。6月29日18時15分で、次ぎに写ったのは6月20日8時。行って帰ってきたんだ。ということは、俺山に入ったんだ。この時間大丈夫だろうと入った。行ったはいいが先に人が居たと言うんで帰ってきたんだ」

「人間で言えばきの道って自分の巣穴に入るだけの道はひっそりとしてるけども、それではない国道とか、これは市町村道だろうな」

行き交う様々な動物たち。

「ちゃんとポーズとってくれている」

本格的な撮影に向け、いよいよ宮崎の機材作りがはじまった。

魚眼レンズを上向きに設置。

動物そして彼らが生きる世界を丸ごと写し撮るのが狙いだ。

「動物が住んでる森ってものね、この動物目線から見れるのではないかと。新しい視点でね、見せたいじゃないですか。誰も誰も撮ってないアングルで。君に見せたい空ですよ。だから自然界の空を見せたい。そこに生き物がいるだけで十分」

「老眼鏡。スポットライトをいくつか噛ませばね、かっこいい光がいくでしょ」

望遠ライトのための材料はこんなところにも。

「これくみ取り式トイレの臭気抜きですよ。使えそうだから解体屋からもらってきた。だからクサイ」

「本当はあらったほうがいいんだけどね。あのちょっとテストですから」

「はは。ぴったり」

「昔ねヌード劇場行ったの。すると照明があるじゃん。もうモデルさんより照明ばっかり見て盗んだ。遠くらら背中に当てる。これだと思った」

誰にも真似のできない宮崎の写真。

初めからずっと独学だった。

「この太い指でどんだけ細かいところやるのよ。カメラの下請け工場。本当の下請けですよ。そこに勤めてその時に機械もいじれるものを作ればいいんだとかと思いましたよね。お金持ちしかカメラ買えなかったでしょ。それをやっぱり仕事とはいえね、毎日触れて自分で作るというねそういうことができたからそれは嬉しかったですよね。16ですよ。僕は中学でただけですから。それから必死で。俺はこのカメラというものを使いこなしてやろうと。レンズがね、やっぱり子供の頃見てた鳥の目の輝きに似てるのよ。光具合がね。これだと思った」

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最初にカメラを向けたのは何よりも身近な存在だった動物たち。

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少年時代は鳩やジュウシマツなどさまざまな鳥と過ごしていた。

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カワラヒワがジュイーンと泣いてるよね。しつこく泣くということは、そこに巣があるかもしれん。(鳥の巣探しとかも)得意。言葉が分かっていたからね。もうすでに子供の頃から鳥には言葉があることがわかっていた。家はあのパラボラアンテナのちょっと下に鉄塔があるでしょ。そのすぐ下だったから子供の頃もう本当に耳をすませばフクロウは鳴くはね。いろんなサインが蠢いてたって感じで」

「この桜の木これを登って遊んだんだよ。走って登れたもん。こんな感じで。自分にとって当たり前なんだけれども、撮っていない物はなんだっていうと、コウモリとかムササビとかね。そんなの撮れるじゃんってことになって」

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慣れ親しんだ山へと通い、当時幻と言われたカモシカの姿までをも撮影した。

雑誌のコンテストに応募すると入選を重ね賞金も舞い込んだ。

しかし原因不明の体調不良が宮崎を襲う。

山を歩くことさえままならなくなり、入退院を繰り返す。

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思い出したのは11歳の時に起きた大水害のこと。

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「三六災害。昭和26年。猛烈な豪雨があって土砂崩れがおきた。水害の直後からね。初めて周辺の山に入ったんですよ。あの工事が。それが結果的に相当コンクリートのアクが入ってた。水道がなかったから全部近場で、川とかわき水とか。そういうものだけで生活していた。それで腎臓のろ過装置。そこにどうもいたずらあるかなというのは今思えばね。それはショックですよ。私からも自分の体にあの調子の悪いパーツを抱えてると思うともうそれは絶望的ですよね。もう自分の人生ことを終りだと。その辺から環境問題を意識するようになったですね」

 

 

思いもしなかった体調不良。

それに抗うように壮大な計画を立てた。

日本列島に生息する鷲と鷹16種全ての生態を撮影する。

ワシやタカは警戒心が強く全種類の営巣を映像を撮影したものなどいなかった。

「これはやるしかないと。自分がこれをやれば自分は本物のプロになれるっていうことで自分の意思で宿題とした」

最後に挑んだのは正体がほとんどわかっていなかった西表島カンムリワシ

3年かけて撮影に成功した。

構想から15年。

無謀とも思えた計画は一冊の写真集として実を結んだ。

しかしこの時期。宮崎はある悩みにぶつかった。

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「ブラインドという隠れ小屋を作って待ってるとね、向こうは知ってわけよ。こん中から殺気が出ること。待てば待つほどね、殺気がでるのよ」

撮影という行為自体を問い直した。

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考えたのは自分でシャッターを切らない特殊なカメラ。

4年がかりで動物の動きに合わせ自動でシャッターを切る無人カメラを完成させた。

狙える範囲はわずか数十センチ四方。

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動物の行動を高い精度で予測しなければならなかった。

「見えない世界を見たい。ほとんど見てない世界を伝えたいのがメッセンジャーとしてのね、写真家としてのね。それがありましたよね」

カメラは人知れずけものみちを歩く動物たちをとらえた。

初めて目にする動物たちの自然な姿。

しかし独創的な手法は批判にもさらされた。

「僕は信じて良かれと思ってやってることを、やっぱり否定されることになるわけのです。あいつは指でシャッターを切ってないとか、こんなところを動物が歩くはずないんだとか。そういう人たちが否定してくるとやっぱりそれは悔しいよねえ。やっぱり悔しいけれどももっとそれ以上のね、仕事を続けたいとエネルギーとしてねにえたぎってました」

 

人が目を背けてきた世界にカメラを向けた。

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死―宮崎学写真集

死―宮崎学写真集

  • 発売日: 1994/11/01
  • メディア: 大型本
 

 写真集・死。

一匹のニホンジカの死後の姿を映し続けた。

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やってきた動物達に食いちぎられやがて消えてゆくニホンジカ

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死が他の命を育んでいく。

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「現代版九相図ですよね。仏教の世界には九相図ってあったんですから、それを今この社会だからこそね伝えようと思って。モデルが動物になってもらった。食物連鎖って強いものが弱いものを食べ、それがまた下のもの食べちゃって、植物まで繋がってる。土壌までつながってくような行為。連鎖をみなさん知ってるわけ。やっぱり弱肉強食という食物連鎖。もっとそれより違う、死んでから撮ったらね、逆にあの腐食。物に腐っていくものを食べる腐食物連鎖っていうものがある。でそれは、強肉弱食。強い動物の肉を弱いものが食べる。腐食物連鎖つまり死んでしまうと強いものも抵抗できない。それを食べて処理しなさいという出番がプログラムされてるんです。人間は社会的にみんなその自然のしくみを忘れ物してるわけよね。大事なところを見ようとしない。だから綺麗なとこ。誕生の方のきれいなところは見るわけで、綺麗な美しい姿見るわけでも死後の姿ってもうあの見るに耐えない世界ということで誰も見向きもしない。でも危険なんですよ。そのきれいなところだけおいしいところだけね頂いて満足しちゃうとね人間自身はちょっとまずいなーっということを考えた。そういう汚い部分も決して汚くなくて意味があるということを伝えたくて写真集作ったんですよね」


 

目に見えない世界を見ようとして55年。

そして今、君に見せたい空がある。

新たなカメラは、あのタヌキの共同トイレの近くに仕掛けることにした。

道が開け、こずえから空が覗く森の中の一等地。

動物を撮るための野外スタジオ。

ストロボライトの調整にも余念がない。

Q.ストロボ位置なんかっていうのは今どうやって決めてったんですが

「光軸を読むだけですよ。光がどう走るか。これで一本オッケー。向こうから一発入れたいけどね。これが真っ暗になるか。いい感じよ。ほら昼間通ったらいいぞ熊でも太陽がもろ。今の時間」

無人カメラは事前の準備が撮影のすべて。

「これ乾燥剤。だから今レンズがめちゃくちゃ曇ってるでしょ。それを乾かしちゃおうという。中へ密封しとけばぐんぐん吸ってくれるでしょ。この地球にね、自分達だけだと思ってるでしょ。そうじゃない。色んな生物が全部大家さんなんだよ。地球がね。だから全て人間も含めてねやっぱり店子なんですよ。だってひとつしかない太陽をみんな全員が浴びてるじゃない」

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宮崎は動物の目線を借りながら人間の営みにもカメラを向けてきた。

 

 

アニマル黙示録』宮崎学写真集: KOH's VIEW

90年代半ばに発表された《アニマル黙示録》。

人間とともにこの世界に生きている動物たち。

その姿を記録した。

「やっぱりこれは動物たちも山の中で町がどんどん明るくなって変わってことをね、森の中から見てるぞって思ったね。じゃあ動物の背中越しに街を映したい。夜景を写したい。そういう撮り方をし始めた」

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ふるさと伊那谷で映された一枚。

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高速道路の橋の下に鹿たちが群がる。

「人工の構造物をした今の社会では高速道路でしょうね。車社会だから。それを見せようと思ってね。しかも塩カルがどんどん落ちてくでしょ。こんなの何十年たまってるわけです。橋が温度差によってすぐ凍るから。ここだけは大量に撒くわけ。そうするとどんどん落ちる。塩化カルシウムだからすごい量ですよ。高速道路だから」

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融雪剤の塩化カルシウムなどが鹿たちのミネラルや塩分の供給源となっていた。

「変わった変わった。日本中の鹿が変わったもんね。高速道路だけでなくて市町村道からね。国道全部あるでしょ。それに全部北海道から九州まで塩カル撒いたから。九州や鹿児島あたりもすごいですよ。それによって鹿は抜群に増えた」

知られざる人間と動物の共生。

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「人間の挟間っていうか、周辺で潤っていく生物がいっぱいいるんだと。自然保護だとか言いながら全然気づいてないのね。自分たちがそういう環境を作ってあげたことに対してね。変に仮想敵みたいに作っちゃってね。そちらの方に矛先変えちゃうでしょ。雨が降ったから。雨が多かったから餌不足。どんぐりが成らなかったんだって。雨が降りゃ降ったで大喜びする生物いっぱいいるんだから。それがまた餌になってるわけね。自然ってそう簡単にね人間が考えるほどね、やっぱりあの小さいところで動いてないのね。もっともっと大きなところで動いてる」

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魚眼レンズを使ったあの無人カメラには何が写るのか。

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「さあどうだ。何も映っていない。全く。ゼロですね。雨かな雨かな。残念でしたよ。チャンスの時にはばばっと来る。こない時には一週間ほど何にも来ないしね。二時間単位ぐらいに動いてるのね。例えばですよ、ウサギが歩くとそれを追って今度狐が歩いてくると。とにかく何かチャンスが求めててチャンスがあった時には続いてくる。お互いがその種類が違ってもね。共存だねそういう関係がどうもあるみたい」

 

 

1996年。宮崎はウクライナチェルノブイリを訪ねた。

原子力発電所の事故の跡地で人間の文明の行き先を知りたいと思った。

「その時に平和な村がいっぱいあった。それがみんな無人になっちゃった。出てけって。最後にはみんな火つけられて。村を消しちゃうんですね。地図からそこを消しちゃった。文明がねとにかく沸点というか一番頂点に達した時にね、バブルと言うかなれそうな気がするわけ。ストーンとねあのされるような音」

それから15年。日本でも原子力発電所の事故が起きた。

「ショックでしたよ。台風でとかなることあるけど、そんなのはね自然のプログラムじゃないの。なんでそれは平気ですよね。人為的なね、人工ミス。人のつくったもので自然災害と同時にとんでもない事故になるってことはね、人間として考えなくちゃいけない。一人一人がね。それをやっぱり忘れてたんじゃないのかなと思ってね」

宮崎は福島に通った。

動物の目線を借りながら写そうとしたのは人間の営みだった。

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「立ち入り禁止区域の集落があって、その一軒にカメラ置いてずっとね。写したんですよ。それはその家の持ち主から頼まれたんです。動物が集落に入ってきてるわけ。イノシシなんかね。鼻面で玄関を打ち破って、ガラスを穴空けて。そっから出入りする。テンは来るは猿はくる。空き家になった家がねなんか非常にむなしかったね。動物が出てきて当たり前だと。原風景だから。でもそこから出ていかざるを得ない人間の悲しさ哀れさと儚さ。それを見た。後世に残しながら語り継ぐ。これが僕の一つのメッセージだよね」

君に見せたい空がある。

この日も無人カメラのチェックにやってきた。

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「来ましたね。熊。ばっちり。19時2分。来たか。ちょっとふてぶてしい顔してますよ。ほらこの顔。この目。こういうのがね。こういうのがあるから楽しいんですわ」

カメラを仕掛けて三ヶ月。

魚眼レンズがとらえた動物と森と空。

闇をかけるテン。

草をはむ野うさぎ。

雨粒滴る中リスが行き、秋晴れの森を日本猿が闊歩していた。

 

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「森羅万象の中に生きてるよと、我々も。たかだかね、この地球のこの片隅に住まわしてもらってる人間だもの。僕らいなくなった後もね。

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子孫たちが自然に感謝して、生きてくることに感謝できるようなそんな時代がずっとあればいいよね。あると思うよ。僕はあるような気がする。見たいねタイムカプセルになって百年後にのぞきにきたいな。カメラという道具がなくてもね。本当に。いい感じ。いい感じじゃん」 

 

森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然

森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然

 

 

放送記録

av98ingram.wpblog.jp

 

 

書籍

 

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 雑誌
 

 

展覧会

 

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