戸嶋靖昌展 -縄文の焔と闇
硬い岩を割ったような男の顔。
キャンバスから現れ出てきたような表情。
これらの絵に多くの人に圧倒される。
作者は戸嶋靖昌。
スペインで30年にわたり、独自のリアリズムを追求しました。
故郷である秋田で魂の画家と言われる戸嶋の回顧展が開かれています。
自然溢れる秋田の風土で育った戸嶋。
東京の武蔵野美術大学を出て精力的に描き続けました。
それは暗く深い森を思わせるもの。
人間の心を深く見つめ続けてきました。
40歳の時。戸嶋は日本での画業をうち捨てスペインに渡ります。
その家は敬虔なキリスト教の信者たちが生きる達でした。
ここで30年を過ごします。
スペインでの旅を続けた戸嶋は最終地にグラナダを選びました。
そこはスペイン最後のイスラム王朝があった悲劇の地でもありました。
戸嶋は町の中に秘められた悲しみを見つめました。
戸嶋が魅了された人物も悲しみを背負って生きる人でした。
その一人がベルタ。
没落した貴族の末裔です。
しかし誇り高き姿はかつてのまま。
その気高さを、ベラスケスに学んだという白い絵の具の輝きを使って表現しています。
戸嶋は大道芸人としてヨーロッパを巡っていたフランス人女性クリスティーヌと出会います。
クリスティーのモデルに数多くの作品が生まれました。
その一つ。裸体画です。
瑞々しい命を捉えつつもその終焉をも予感させる姿。
モデルとなったクリスティーナは、後に自分の奥深いところまで見透かされているような体験だったと振り返ります。
戸嶋は社会の底辺で生きているミゲールに出会い、強い魂を感じます。
この絵で独自のリアリズムを確立したと言われています。
日本に帰国後描いた戸嶋靖昌の絶筆です。
「完成してから半年後になくなってしまうんです。余命宣告を受けて自分が亡くなると言うことが分かっていて描いた作品。体がやせ細っていきながらも魂を削りながら描いた作品なんですね。作品が持つ力強さっていうものを是非実際にご覧頂いて欲しいと思っています」
秋田県立美術館で来年1月10日までです。
会場:秋田県立美術館
会期:2020年10月24日~2021年1月10日
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