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「茶入と茶碗 『大正名器鑑』の世界」【アートシーン】

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茶入と茶碗 『大正名器鑑』の世界

 

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茶の湯の世界で茶人たちが最も大切にしたのが伝来の茶入れであり茶碗です。

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この二つの道具が重視されるようになった理由の一つには大正10年より刊行が始まった大正名器鑑の存在があります。

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全9編。11冊にも及ぶこの本では、875点もの茶入れや茶碗の情報が詳細に記されています。

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編纂者は高橋箒庵。
新聞記者や実業家として活躍しましたが、趣味の世界で行きたいと満50歳で実業界から引退します。

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名物と呼ばれる茶道具を調査するため全国の名家に散らばる茶入茶碗を訪ね歩きます。
そして刊行されたのが大正名器鑑です。
茶の湯に大きな貢献を果たした高橋箒庵の足跡をたどります。

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「実業家の高橋箒庵によってすべての作品を実見して箒庵による簡単なコメントが添えられています。

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写真技術や印刷技術を用いてできる限り詳細な記録を残すことを試みました。現在でも茶道具の世界では基本資料となるほど高く評価されているものになります」

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草庵が目標としたのは出雲松江藩主松平不昧が記した茶道具の名物記。

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まず松平家の旧蔵品から調査を始めました。

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松平家所蔵の玉柏手茶入銘村雨

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これは箒庵が村雨を実際に見た時の調書です。

村雨という銘は正面の釉薬の流れを霧に見立て、寂蓮法師百人一首にある村雨の露に由来があると記しています。

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茶器のスケッチや付属品など詳細な情報を記録していきます。

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箒庵は茶の湯に造詣の深い実業家根津嘉一郎の茶碗も調査します。

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これは嘉一郎が所有していた鼠志野茶碗。

ねずみ色の表面に大胆な文様が施されより魅力的な風貌となっています。

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「全く普通の志野茶碗とは異にして、青鼠釉の勝ちたるがこれ類稀なるものととなるべし」

箒庵は姫路の大名であった酒井家にも足を運びました。

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そこで雨漏り茶碗と出会います。
気泡の染みが生じて釉薬に雨漏り状のシミがまだらに現れています。
「白地の中に少し茶味を帯びた色合いは侘び茶人向き第一の茶碗」

こうして全国各地の銘家を調査し大正名器鑑は構想から15年の時を経て完成しました。

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東京港区の根津美術館で7月11日まで。

 

会場:根津美術館

会期:2021年6月1日~7月11日

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